僕がゲイで良かったこと 第15回

第15回 「僕が(多分)同性婚をしない理由」3

平良愛香

LGBT性的マイノリティというと、「少数者」「社会的弱者」「被差別者」という目でも見られます。確かに人数的には(おそらく)「少数者」であり、社会的には十分に権利が与えられていない「弱者」、制度的にも感情的にも差別を受けている側ではあります。実際ネットの書き込みなどを見ていると「キモい」「変態」「普通じゃない」ということが、ときには面白おかしく、ときには本気の嫌悪感を込めた言葉として並んでいるのに遭遇します。しかもその多くは、「少なくとも私はそう思う」ではなく「みんなもそう思っている」という前提であり、「だからそう書いても差支えない」といった前提のようなものを感じるのです。(ネットの問題性についても、いつか書いてみたいですね)。

ところがLGBTと言っても、課題や生きづらさはLとGとBとTでは全く異なります。バイセクシュアルの人は、性的に放縦だというイメージを付けられやすかったり、「逃げ道を持っている」かのように見られて同性愛者からさえ「コウモリ」のようにあしらわれたり。あるバイセクシュアルの人は、たまたま今つき合っている相手が異性だと「じゃあいいじゃん」と周りから言われた、と話してくれました。「じゃあいいじゃん」って何? 今つき合っているのが同性だったら「じゃあよくない」となるの? そもそも、付き合っている相手の性別によって、私への見方が変化するの?

トランスジェンダーの人の中でも、「生まれた時に認定された性別とは異なる性別を生きたいけど、事情があってできない」という人と、「自分の望む性別で生きているけど周りからは認めてもらえない。ヘンだと思われたりしている」という人と、「自分の望む性別を生きているけど、かつて違う性別を生きていたということがバレるのが怖い」という人の生きづらさは違います。また、生まれた時に認定された性別ではなくトランスして女性として生きる人(トランス女性)とトランスして男性として生きる人(トランス男性)の生きづらさもかなり違います。まだまだ男女が対等にはなっていない社会において、トランス女性はどこかで「なんで女なんかになるの」と、まるで落ちぶれたかのように蔑まれ、逆にトランス男性は「実は女のくせに」と蔑まれる。(だからトランス男性の中には、かつて女性として生きていたということを完全に封印している人が多いと感じます。トランス女性とトランス男性はほぼ同数、あるいはトランス男性のほうが多いとも言われているのに、後者の存在が前者ほど知られていないのはその現れではないかと思います)。

性的マイノリティの中での生きづらさの違いについて説明するために、やや遠回りをしてしまいましたが、一番触れたかったことは「同性愛者の中でも、男性同性愛者(ゲイ)と女性同性愛者(レズビアン)の生きづらさもかなり違う」ということです。そして、「男は女を養ったり支配したりできるようじゃないと一人前ではない」といったとんでもない価値観が無自覚に現存している社会の中では、ゲイがレズビアンより生きづらい部分があると言えないわけではないけど、逆に「男性である」ということで得をしている(言い換えるとレズビアンの人が、より生きづらさを抱えている)という部分も多大にあるというのが現実だと言えるのです。

●男性であることの既得権……?

僕は自分が男性であることで「得をしている」と気づかされることがよくあります。それは「得できてラッキー!」ということではなく、「一方で損をしている人がいていいのだろうか」という問いにつながります。

歩道をボーッと歩いていたり、エスカレーターの右側に歩かずに立っていたりしても、「どけ!」と言われたり無理やり押しのけられたりすることはあまりありませんし(全くないわけではないけど、圧倒的に少ないのを感じます。そもそも「エスカレーターでは歩かないでください」とわざわざ注意書きが表示されているのに、どうして右側の人は歩いてしまうのだろう・・・もちろん、後ろから急いでいる人が来るからだという理由は分かりますが、それだけじゃないよね、と感じます。このことはいつか機会があったら書きたいなあ)、前者は僕が体の大きな成人男性であるということもあるでしょう。実は「どけ!」と言われるのは「自分より弱い」と判断された人だけのようです。そして「女性は男性より弱いもの」という決めつけがその人の価値観にはあるのでしょう。まあ「どけ!」と言っているだけ相手を人間として見ているからまだマシなのかなあ、と思うこともありますが。人ごみの中で、何も言わずぶつかってきたり押しのけてきたりする人は、相手を人間とすら思っていないように感じることもあるので…。

すみません、なかなか本題に入れずにいますが、ここで感じ取ってほしいのは「男は社会的に有利なことが多い」ということです。言い換えると女性は不利になっていることが多い。男性の皆さん、気づいていましたか?

(またまた続く)

[ライタープロフィール]

平良愛香(たいらあいか)

1968年沖縄生まれ。男性同性愛者であることをカミングアウトして牧師となる。
現在日本キリスト教団川和教会牧師。