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あてにならないおはなし 第13回

2020 年 11 月 15 日 日曜日

第13回「犯罪ってなんだ」

 

阿部 寛

 

記憶をたどってみると、犯罪への強い関心は、小学生のころから持ちあわせていたようだ。𠮷展ちゃん誘拐殺人事件(1963年3月、わたしは当時8歳)、狭山事件=女子高校生強盗強姦、強盗殺人事件(1963年5月、当時8歳)、金嬉老事件(1968年2月、当時13歳)、永山則夫事件(1968年10月〜69年4月、当時13〜14歳)などについて鮮明に記憶している。容疑者に対して、連日連夜の苛烈な報道、家庭や地域での話題を独占するほどのエスカレートぶりだった。国会審議では、犯人取り逃がしと被害者の死亡と身代金略取、さらには捜査の長期化に対する警察や検察へのすさまじい非難が集中し、地域社会においては、容疑者家族や被害者家族への卑劣極まりない攻撃や排除が繰り広げられていた。当時愛読していた社会派の推理小説家さえ、容疑者を鬼畜呼ばわりし、「逮捕の報にほっとした」とコメントしたのにはまったく失望した。まだ容疑者であり、起訴さえされていないのにである。

また、容疑者に係る貧困や家庭環境、被差別部落、在日朝鮮人などのキーワードが、犯罪についての社会的背景としてではなく、犯罪性や凶悪性の根拠そのものであるかのような報道ぶりに子どもながら嫌悪感を覚えた。さらには、容疑者の家族、被害者やその家族の家庭状況までもが暴かれ、社会全体が寄ってたかって関係者を袋叩きにするような非常に嫌〜な空気を実感していた。果たして、犯人と疑われた人々は、どんな人生を歩んだ人なのか、その真相を知りたい。犯罪をめぐる一連の社会的物語がどのようにつくられていくのか。もしかしたら、犯罪に関する真実究明よりも、世間の声に押されて社会不安除去と秩序回復が先行されているのではではないか。もしかしたら、真犯人でなくても地域や世間の気が収まれば、誰でもいいとさえ思っているんじゃないか、とさえ思えてくるのだった。

一体、犯罪とは何だろうか。なぜ、犯罪という類型の行為が作られるのか。 (続きを読む…)

一杯の紅茶と英文学 〜『赤毛のアン』のお茶会編〜 第10回

2020 年 11 月 15 日 日曜日

第10回【なぜフィリップス先生はアンを理不尽に叱ったのか?】

南野モリコ

生徒から慕われないフィリップス先生

 

『赤毛のアン』がきっかけで欧米の喫茶文化のとりこになった筆者が、「お茶」をキーワードに作品を深読みするコラム、ついに第10回となりました。

 

NHKドラマ『アンという名の少女』シーズン1の最終回が衝撃的すぎて世間をざわつかせているようです。長年、作品を深読みしてきた筆者としては、もし21世紀にモンゴメリが生きていたら、こんなストーリーを書いたかもしれないと思わなくもないですが、原作のイメージとかけ離れているとがっかりする気持ちはよく分かります。野山で放し飼い同然で育った小学4年生の筆者にとっては、アニメ版『赤毛のアン』でさえ、馴染めませんでしたからね。しかし、ドラマがきっかけで作品を読み直した方が多いのは嬉しいことです。ついうっかり、このコラムに辿り着いてしまった皆様、ありがとうございます。「ふーん、こういう見方もあるのね。Go Toトラベル、行きたい」と言いながら、気楽にお読み頂けると嬉しいです。 (続きを読む…)

耳にコバン ちょっとためになるボク的ロックンロール通信 第16回

2020 年 11 月 15 日 日曜日

第16回 ボクの好きな先生

コバン・ミヤガワ

 

「黄色だね」

そう言われた。

 

ボクは黄色いらしい。

 

皆さんは、好きだった先生や印象に残っている先生はいるだろうか。

生きていればいろんな先生と出会う。

 

「ボクの先生」として記憶に残っている最古の先生は、保育所(親の都合でド級の田舎に住んでいたため、保育園なんかなかった)の頃の「アッコ先生」だ。

もたいまさこみたいな先生だった。

アッコ先生が作る自家製ヨーグルトが非常に美味しかったことを覚えている。

 

小学1年生の頃の担任は何を隠そう「ボクの母」であった。 (続きを読む…)

日々是好日 第14回

2020 年 11 月 15 日 日曜日

◇10月○日

建築の技術面の知識が必要な事件。

依頼者さんと打合せを重ねる。

⁂ ⁂ ⁂

生活を取り巻く物理的なあれこれが、どう作られているのかを聞けるのはとても興味深いです。いろんな専門の業者さんがいらっしゃるんだなあ……と感心します。ひっそり街にたたずむこの建物も! あの建物も! いろんな人の手と技術によって生まれたんだねえ……。

しかし感心しているだけでは当然済まず、ご依頼を受けたからには、こちらがちゃんとお話を聞き取って書面に書かなければなりません。そして聞き取ったままを書面にするだけでなく、法的な主張の形にする必要があります。

弁護士は大抵文系ですが(かなり稀ですが、時々医師や技術士の免許を持ってらっしゃる弁護士もいますね……すごい)、書面を読む側の裁判官もおよそ文系なので(別の仕事をしていたことのある裁判官、は別の仕事をしていたことのある弁護士、より少ないと思う)書面をわかりやすく書くよう心がけ、工夫をするようにしています。

また私は近頃、先輩弁護士に見習って、事件を理解するために、依頼者さんにお話を聞くのと併せて実際に現地に繰り出してみるようになりました。同じように歩き回っている弁護士は結構多いのではないかと思います。

弊所最年長弁護士の言っていた「弁護士3つのW」。WRITE(書く。書面をとにかく書く)、WAIT(待つ。相手の出方等。調停事件も待ち時間が結構あります)、WALK(歩く)は的を得ている……弁護士の友人はこの前佐渡まで行ったと申しておりました。

なお、技術的な知識が必要になる事件は、事件を見極めるべく裁判所が専門家を呼ぶこともあります(民事訴訟法92条の2以下)。 (続きを読む…)

ひあり奈央の占星術 11/1〜11/30

2020 年 11 月 1 日 日曜日

ひあり奈央

 

 

今月は後半にいくにつれて物事の展開がスピードアップしていきます。逆行していた水星は11月4日に天秤座で順行に戻ります。先月半ばくらいからスッキリしない人間関係があるとしたら、今月4日過ぎくらいからスムースに意思疎通ができるタイミングですので、ゆっくりと話し合いの時間を取るといいでしょう。

また11月14日には6月28日から逆行していた火星が順行に戻ります。アイデアや新しいプロジェクトが立ち上がったにもかかわらず、いま一つモチベーションが上がらずに物事が進まない数カ月を過ごしたならば、今月の半ばから大きな展開が期待できます。ポイントは集中すること。目標を一つに絞るのがいいでしょう。

来月には土星が約3年ぶりに水瓶座へとサインチェンジし、木星も約1年ぶりにやはり水瓶座へとサインを変えます。土星と木星が手を組んで、新しい世界の基準を作り始めるのです。こうした意味でも、今月は数年単位で続いた、仕事や社会的役割に関してのメンテナンスのまとめをするような1カ月になっていくでしょう。個人個人が自分の役割を再認識し、水瓶座的な知性や理性、知識を重んじる世界観に合うように変化をしていく、新しい自分を生み出していく。その準備段階と言えます。

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一杯の紅茶と英文学 〜『赤毛のアン』のお茶会編〜 第9回

2020 年 10 月 15 日 木曜日

第9回【なぜアンはジョーシー・パイと友達なのか?】

南野モリコ

 

なぜか仲間はずれにならないジョーシー・パイ

 

『赤毛のアン』がきっかけで欧米の喫茶文化のとりこになった筆者が、第21章の「レイヤーケーキ事件」を中心に、「お茶」をキーワードに作品を深読みするコラム、第9回です。

NHKで放送されているカナダ製作のドラマ『アンという名の少女』が話題になっていますね。原作のイメージを守りつつも現代の解釈で大胆に翻案された部分もあり、『アン』読者以外のファンも巻き込んでいるようです。ドラマをきっかけにこのコラムを見つけた皆さんも、「ふーん、こういう見方もあるのね。パフスリーブ、素敵」と言いながら、気楽にお読み頂けると嬉しいです。

 

(村岡花子訳『虹の谷のアン』新潮社、2008年)

 

 

さて、筆者は『赤毛のアン』シリーズに登場する人物名をリストにするという気の長い作業をしています。『アン』シリーズには、凄まじい数のキャラクターが登場しており、その総数は全12冊通して2500人は超えるだろうと予想しています。そして、そのほとんどが、アンをはじめとした村の女性たちがこぞってするゴシップの登場人物です。 (続きを読む…)

日々是好日 第13回

2020 年 10 月 15 日 木曜日

◇9月○日

事務所の会議で、今後具体的に採用活動をするかどうか……という話が出る。

⁂ ⁂ ⁂

事務所の末っ子である。日本の弁護士全体から見ても、72期の私は末っ子で、73期はまだ司法修習中だ。

72期、73期、という呼び方は、司法修習開始時期により決まる。司法修習とは、司法試験に合格後、法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)になるにあたって受ける必要のある(例外あり)研修をいう。弁護士界隈では、期は多くの場合、年齢以上の重みをもっている。

弊所入所時、原則#$%&の間は、国選の刑事事件を除き、仕事は先輩弁護士と共同受任とするという契約をした。弊所弁護士は皆人格者なので(恒例の自分の事務所アゲ)、私は先輩弁護士に助けてもらったり褒めてもらったりしつつ、機嫌よく仕事に邁進している。

しかし、ここにきて採用活動の話題……すなわち私の後輩を加えることも考えるということか……勿論ずっとこのままというわけにはいかないけれども、でも、この末っ子ポジションがもう少し続いてもいいんじゃないかなと思っているんです……さっき! さっき! 働き始めたところなので……。と思っていると、弁護士会から来年の訟廷日誌(弁護士御用達? の手帳。全国弁護士協同組合発行)の配布申し込みのお知らせが来て、働きはじめて1年を迎えつつあることを知る。 (続きを読む…)

あてにならないおはなし 第12回

2020 年 10 月 15 日 木曜日

第12回「学問・研究は実に恐ろしい」

 

阿部 寛

 

初めに近況報告を少しばかり。

ライタープロフィールにある通り、わたしは、社会福祉士でもあるのだが、実態は「なんちゃって社会福祉士」だ。

学校嫌い、人に教えること、人から教わることが大嫌いなわたしが、4年前から社会福祉士国家試験の受験対策部長(資格取得支援事業部長)として、受験指導に当たっている。今年もコロナ感染症禍の只中、9月、10月と受験対策秋期講座を対面授業形式で実施している。受講生は、すでに福祉の現場で従事している者、ご家族が障害者や認知症高齢者である者、全く異業職から福祉職に転職しようと考えている者などで、相当の覚悟をもって集っている者たちだ。年齢も30代から70代。

全受験19科目を4日間にわたって集中講義するのだが、時間を重ねるごとに顔つきが締まり、目の輝きに変化が生じる。受講生の本気度に励まされて、講師たちの授業にも力が入っていく。合格は当然のこと、なんとしても当事者によりそい、お互いを主権者とし、かつ畏敬の念をもってかかわる専門職になって欲しいのだ。

わたしが社会福祉士国家試験に合格したのが2015年3月、60歳のときで、わずか5年前である。大阪の専門学校夜間コース(社会福祉専攻科)に1年通って、1発合格した。連載にも書いたが、幼稚園時代から不登園という筋金入りの学校嫌い。小・中・高校と遅刻の常習犯で、大学も興味関心のない授業はほとんどパス。

進学した大学は、学生の街・御茶ノ水から八王子の多摩動物公園裏山への移転を控え、反対闘争がエスカレートしていた。コの字型の校舎に囲まれた中庭は、集会にはもってこいの形状で、ひとたび騒ぎが起こると最高の舞台(劇場)に変化する。大学経営陣に対し校舎移転の合理的根拠を説明するように厳しく追及する学生主催の大衆団交がたびたび開催される。対立するセクト同士のゲバルト、反暴力と民主主義を標榜する学生集団の暴力行為、右翼学生による移転反対闘争つぶし。各クラスでは、教授を説得してクラス討議に変えたり、クラス新聞を編集・発刊したりなど、学生たちもそれぞれ考え、発言し、激論を交わし、校舎移転への態度表明をしていった。 (続きを読む…)

耳にコバン ちょっとためになるボク的ロックンロール通信 第15回

2020 年 10 月 15 日 木曜日

第15回「ボクら大人になるんだ、ベイベー」

コバン・ミヤガワ

 

 

つい先日、1つ年下のいとこに赤ちゃんが生まれた。

 

心底嬉しい。新しい生命の誕生はいつだって嬉しい。

まだ会えていないが、きっとすごく可愛い。

素敵な名前をもらって、これからすくすく大きくなるんだ。

 

そんなことを思っていたら、ふと気がついた。

 

「ボクらは気づかぬうちに、思ってるよりずっと大きくなっていたんだ」

 

お盆や正月なんかにみんなで集まって、ご飯を食べたり、遊んだりしていたいとこが、今や立派なお母さんである。

ちょっぴり妙な感覚だ。

まあ、当たり前の話だ。生きているんだもの。毎年ひとつずつ歳を重ねる。そりゃあ大人にもなる。

 

だがいつの頃からだろう、大きくなるのを感じなくなったのは。

いつからだろう、大人になるのを自分で止めたのは。

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ひあり奈央の占星術 10/1〜10/31

2020 年 10 月 1 日 木曜日

ひあり奈央

 

9月22日の秋分が過ぎて、本格的に秋へと季節が変わってきました。秋は人間関係の季節です。様々なシーンで活発な交流が見られるでしょう。

秋分は冬至までの3か月のスタートと考え、秋分の瞬間の天空のエネルギーから今後3か月の空気を読み取ります。全体的にこの3か月は未来への期待感や変化を求める気持ちが強くなりやすい反面、行動は今ひとつ積極的になれず、確信が持てないまま新しいことを始めることが多くなりそうです。仕事、会社、家族、地域など自分の土台や基盤をどこに置くのか。自分の中心点を模索しながら進んでいくことになるでしょう。

そんな中長期的な空気感の中で、10月は人との交流が活発になり、深い関係性なども築きやすい時期となっています。恋愛や結婚は相手の態度や言葉を分析せず、完璧を求めなければ、スピーディーに関係が進んでいきやすいタイミングです。また10日前後から20日頃までは、人の意見を聞き過ぎて自分の考えがわからなくなったり、逆に余計な主張をし過ぎたりしやすい時期となっています。社会的にも動きがありそうです。この期間は何かと激しく、消耗しやすい空気感ですので、グループや組織内で揉めないこと、言い過ぎやりすぎに注意をしていきましょう。

天秤座の新月は10月17日。自分がこうありたいと思う姿と家族や周囲の人々があなたに望む姿とのギャップに気づき、調整するようなエネルギーとなっています。自分の生活の精神的な基盤についての見直しやこれから自分が関係していく人に関して強く新しい意図が生まれやすい時期です。今月は、バタバタと忙しい空気感なので、体調に気をつけて、毎日を丁寧に過ごすことを心がけてください。

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