フラナリー・オコナーの受動性と暴力

フラナリー・オコナーの受動性と暴力

文学と神学の狭間で
山辺 省太/著
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発売日 : 2019/3/22

書名カナ フラナリーオコナーノジュドウセイトボウリョク
判型/製本 四六/上製
ページ数 288
ISBN 978-4-7791-2573-7
Cコード 0098
オコナーの作品は、なぜグロテスクで暴力的な光景に満ちているのか。暴力と恩寵が混在した文学/神学世界において、いかに登場人物の主体性が奪われ、神の啓示の前で受動的な存在になるのか、作品が内包する倫理に着目する。山辺 省太978-4-7791-2573-7文学と神学の狭間で南山大学学術叢書
序章 文学と神学の狭間で
  受動性と主体/オコナー文学と新批評
  暴力、受動性、レヴィナス/日本のオコナー研究と本書の位置づけ

第I部 秘義における物質と知覚
第1章 彷徨の身体
      ──『賢い血』と不安定な神の表象
  神聖と冒瀆/浮遊する眼差しとグロテスクな形象
  故郷の喪失と不気味なもの/善としての彷徨
第2章 物質と秘跡のリアリティ
      ──「グリーンリーフ」と「川」にみられる文学の美学と創造世界の表象
  秘跡と受肉の芸術/リアリティと知覚
  「グリーンリーフ」と「川」におけるリアリティ
  人間と物質の類似

第II部 受動性という倫理──他者の歓待と神の恩寵
第3章 倫理、暴力、非在
      ──「善人はなかなかいない」と「善良な田舎者」における善と他者
  経験と倫理/同一性の記号としての「善」
  暴力、隠蔽、顕在
第4章 アクチュアリティ、グロテスク、「パーカーの背中」
      ──行為、融合、再創造
  グロテスクな創造/行為と再創造
  暴力、受動性、融合

第Ⅲ部 オコナーの終末的光景──想像力、時間、現実性
第5章 不可解な黒さと虚構の力学
      ──「作り物の黒人」と「高く昇って一点へ」の差異と終わりの意識
  黒さ、原罪、人種/黒さと神の恩寵/本物の黒人と作り物の黒人
  贖罪の時間、虚構、現実
第6章 故郷、煉獄、飛翔
      ──「永く続く悪寒」における神の降臨と時間の詩学
  煉獄という過程/境界侵犯への憧れ、あるいは煉獄からの離脱
  供犠、イメージ、飛翔
  アズベリー・フォックス、フラナリー・オコナー、進化の贖罪

第Ⅳ部 共同体/国家における政治と宗教
第7章 農園から共同体へ
      ──「強制追放者」におけるアイデンティティの構築と崩壊
  戦争、死、アイデンティティ/南部の労働者からアメリカの市民へ
  農園主から南部人へ/一時の共同体、無限の共同体
第8章 生の政治と死の宗教
      ──『激しく攻める者はこれを奪う』
  公的なアメリカと私的な南部/生の享受と死の洗礼
  アメリカの市民宗教、ターウォーターのキリスト教
第9章 偽善と暴力の相補
      ──「奴隷解放宣言」と「高く昇って一点へ」
  奴隷解放宣言、神話的暴力、神的暴力/オコナーの曖昧な人種態度
  偽善という神話的暴力が生み出すもの
  計測可能な正義の危険性 
山辺 省太
やまべ・しょうた
南山大学外国語学部准教授。

【著書】
『ノンフィクションの英米文学』
(共著、富士川義之 編、金星堂、2018年)、
『「1968年」再訪――「時代の転換期」の解剖』
(共著、藤本博 編、行路社、2018年)などがある。