ダイムノヴェルのアメリカ

ダイムノヴェルのアメリカ

大衆小説の文化史
山口 ヨシ子/著
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発売日 : 2013/10/17

書名カナ ダイムノヴェルノアメリカ
判型/製本 四六/上製
ページ数 392
ISBN 978-4-7791-1942-2
Cコード 0098
19世紀後半〜20世紀初頭のアメリカで大量に出版された安価な物語群「ダイムノヴェル」。大衆が愛読した「ダイムノヴェル」の特徴から、社会の底辺に蓄積された文化的営為を掘り起こし、アメリカ人に形成された「意識」を探る。各紙誌書評。山口 ヨシ子978-4-7791-1942-2大衆小説の文化史
まえがき

第1章 ダイムノヴェルの登場
  ──スティーヴンズ『マラエスカ』とエリス『セス・ジョーンズ』
1 文学的革命
  万人のための本/消費行為としての読書と読書形態の変化
  ビードル社の試み/ダイムノヴェルと南北戦争
  ダイムノヴェルのベストセラー
2 ネイティヴ・アメリカン、フロンティア、ロマンス、アメリカ
  アメリカのスター作家によるダイムノヴェル
  愛国主義的プロジェクト/「インディアン捕囚物語」の伝統
3 女性向け小説から万人向けダイムノヴェルへ
  出版社の介入/捕囚から自由への闘争へ
  悲劇を生みだす偏見/ポカホンタス伝説の「焼き直し」
4 捕囚、追跡、救出からヒーローの誕生へ
  先住民を敵とする冒険アクション/「命のドラマ」
  ロマンスの道徳性/アメリカン・ヒーローの誕生
5 ビードル社の宣伝戦略
  「セス・ジョーンズって誰だ?」/神話の生成

第2章 ダイムノヴェルと奴隷制
  ──ヴィクター『モーム・ギニーとそのプランテーションの「子どもたち」』
1 もう一つの「アンクル・トムの小屋」
  文学的南北戦争/出版社の覚書/イギリスでの出版
2 「楽しいロマンス」という枠組みのなかで
  奴隷制を描くダイムノヴェル/ハッピー・エンディング
  宗教色の排除と恋愛という宗教
3 「楽しいロマンス」をこえる奴隷制の現実
  ナット・ターナー事件の小説化/ヒギンソン論文との類似性
  フィクションとしてのドラマ性
4 奴隷のなかのカラーライン
  反奴隷制小説における白人優越意識
  奴隷制擁護の小説との類似性と差異
5 結末の意味するもの
  奴隷にとってのハッピー・エンディングとは
  リベリアへの植民計画

第3章 無法者のヒーローと男装のヒロイン
  ──ウィーラー「デッドウッド・ディック」シリーズ
1 アメリカ西部のロビン・フッドと堕落した女
  アウトロー、主役となる/社会的盗賊
  アウトロー人気の社会的背景/カラミティ・ジェイン
2 サウスダコタ、デッドウッド、一八七七年
  フロンティアの移動/敵は資本主義社会
  アウトローになる理由/自警・私刑行為の容認
  私憤から公憤へ/アウトローの匿名性/品のよいアウトロー
3 「ダイムノヴェル・ヒロイン」のからく
  カラミティ・ジェインはニュー・ヒロインか
  マーサ・ジェインからカラミティ・ジェインへ
  西部で女が生きるには
  男性を援助する使命/「真の女性」への帰結
4 「堕落した女」が生き続けるということ
  結婚外の性と心の純潔性/奔放な女性の行く末
  「悪女」を描く理由
  暴力に表われる復讐心と反抗心/フェミニスト・ウェスタンへ
5 資本主義社会批判から探偵小説へ、そして「労働騎士団」の物語へ
  労働と資本/平等に分配するという理想
  アウトローからディテクティヴへ

第4章 ダイムノヴェルと探偵小説
  ──ヴィクター『配達されない手紙』『フィギュア・エイト』
1 無視された探偵小説
  人気探偵キャラクター/アメリカのシャーロック・ホームズ
  プロレタリアの探偵/家庭探偵小説
2 規格外のダイムノヴェル
  長編小説としてのダイムノヴェル/結婚で終わる探偵小説
  探偵小説の母/「流血と暴力の物語」から家庭探偵小説へ
3 探偵の登場
  探偵小説の基本ルール/探偵出現の背景
  バートン探偵/透視、直観、追跡/探偵の変装
4 語り手、助手、素人探偵、探偵小説の語り
  遍在する素人探偵/女探偵の登場/探偵小説の語り
5 家庭探偵小説としての特徴
  アドヴァイス本としての探偵小説/労働者階級の女性への配慮
  元祖探偵小説の母

第5章 SFダイムノヴェル
  ──テクノロジー、冒険、帝国主義
1 スティームマン誕生
  世界最初のSFシリーズ/SFダイムノヴェルの始祖
  エジソンとSFダイムノヴェル/SF、ウェスタン、探偵小説
2 少年の「夢実現の物語」──エリスのスティームマン
  天才少年発明家/スティームマン、魔法の発明
  武器としてのスティームマン
3 エリスからエントン、セナレンズのスティームマンへ
  威力を増すスティームマンと残虐シーン
  戯画的な悪人と異人種間結婚
  アイルランド人と探偵、そして黒人の従者
  スティームマン、戦車となる/先住民はつねに敵/世界への冒険
4 フランク・リード、ジェシー・ジェイムズを追跡する
  ジャンルの融合/発明家と無法者との対決
  スティームチームとジェシーの愛馬との対決
  映像に近いテクスト/探偵としての発明家
5 ダイムノヴェルから『アーサー王宮廷のヤンキー』へ
  キャメロットのスティームマン/白いインディアン
  魔法のテクノロジー/冒険旅行とその結末

第6章 ワーキングガールから遺産相続人へ
  ──ローラ・ジーン・リビーの恋愛小説をめぐって
1 ベストセラー・リストに載らないベストセラー作家
  ワーキングガールのための読物/ワンパターンの恋愛小説
2 新しいジャンルの小説の誕生まで
  女性都市労働者の増加/女性賃金労働者への賛辞
  「バーサ、ミシン踏みの娘」/ラリーからレオニーへ
  サウスワースからリビーへ
3 成功物語におけるジェンダーと階級
  成功の概念/「真の女性」としてのワーキングガール
  宗教と政治の排除/運命の逆転
4 読者としてのワーキングガール
  現実を忘れるための娯楽/夢みる規則の共有
  読書行為の変化/女性移民労働者にとっての読書
5 ロマンスのメディア性
  ワーキングガールと英語/ドレス、仮装舞踏会、殺人、火事
  事件性と連続性/メロドラマによるカタルシス
山口 ヨシ子
神奈川大学外国語学部英語英文学科教授。