結婚と扶養の民族誌

結婚と扶養の民族誌

現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー
馬場 淳/著
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発売日 : 2012/2/23

書名カナ ケッコントフヨウノミンゾクシ
判型/製本 A5/上製
ページ数 400
ISBN 978-4-7791-1768-8
Cコード 0039
独立後、近代化の進むパプアニューギニア・マヌス島における現地調査の成果。近代社会の常識概念では計れない「伝統的慣習」のなかで結婚と扶養をめぐる人々の生活実践、男女の協同や衝突の姿、交渉しながら日常生活を構築していく過程を記述するとともに伝統そのもののあり方を問う。馬場 淳978-4-7791-1768-8現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー
序章
  フィールドへ 15  本書の目的 20  フィールドワーク 23  本書の構成 26 

第一章 理論的背景 29
 第一節 伝統文化論 29 
  1 カストム論の概要 29 
  2 カストムとポジションの問題 32 
  3 客体化論 36 
 第二節 パプアニューギニアにおけるジェンダー研究 39 
  1 性の対立論 40 
  2 社会変化とフェミニスト人類学 42 
  3 ジェンダーの政治学 45 
 第三節 ジェンダー研究とカストム論の接点 48 
  1 カストム論におけるジェンダーの問題 48 
  2 ジェンダーの政治学における客体化の類型 51 
 第四節 マヌス研究史 53 

第二章 民族誌的背景 61
 第一節 調査地の概要 61 
  1 マヌス島 61 
  2 クルティ社会 65 
  3 D地区 66
 第二節 生活世界 67 
  1 生活世界と三つの意味領域 67 
  2 クルティ社会の人間観 70 
   (1)人のカテゴリー 71  (2)ウム・カマル 72  (3)ビッグマン 74 
   (4)「家族」と世帯 76  (5)「振る舞い」 76
 第三節 社会の構成 79 
  1 D地区の社会構成 79 
  2 クランの役割 82 
  3 単一起源神話の虚実 84 
  4 二つの出自原理の併存 87 
 第四節 経済生活 90 
  1 マヌス州の経済 90 
  2 生業とマーケット 93 
  3 流通 95 
  4 食生活の実態 96 

第三章 辺境の歴史――パリアウ運動とD地区 107
 第一節 パリアウ運動の概要 107 
 第二節 ケンプの誕生 111 
  1 パリアウ運動以前のD地区 111 
  2 ケンプの建設 114 
 第三節 運動下のD地区住民の実践 115 
  1 カウンシルのやり方 116 
  2 社会状況 118 
 第四節 D地区住民の脱魔術化――運動の「終焉」の語り 120 
  1 パリアウ運動とカーゴカルト 120 
  2 パリアウ運動の「終息」 123 
  3 パリアウを語るということ――ンドラモイの事例 126 
 第五節 パリアウ運動以後の世界 128 
  1 ウム・カマルから新しい共同性へ 128 
  2 カストムの歴史的構成 130 

【結婚編】   

第四章 婚姻慣行の持続と変容 137
 第一節 結婚とカストム・ワーク 137 
  1 カストム・ワークの種類と意義 137 
  2 結婚をめぐるカストム・ワーク 139 
   (1)ナク・ウム 139  (2)ケリム 140  (3)トゥドウ・ピヒン 142
   (4)ンガップ 143   (5)ノウィ 143
  3 結婚の安定性 146 
  4 カストム・ワークの現状 147 
 第二節 結婚戦略の持続 149 
  1 「振る舞い」と結婚する!? 149 
  2 政略結婚 152 
   (1)戦前の事例:サリヤウ 153  (2)戦後の事例①:ンドラモイ 155  
   (3)戦後の事例②:ワイ 156
  3 「良い結婚」 157 
  4 複婚(一夫多妻) 160 
 第三節 婚資の支払いの現状 163 
  1 D地区におけるンガップの実施状況 163 
  2 婚資額の上昇 165 
  3 婚資額へのオブセッション 167 
  4 ンガップに向けたキャンペーン 170 
 第四節 結婚をめぐるカストムと法 173 
  1 結婚の法的分類 173 
  2 婚資の多義性 176 
 小括 180 
第五章 結婚生活とジェンダーの政治学 183
 第一節 経済生活における女性の役割と主体性 183
  1 地域社会での現金収入  183
  2 シシリアの現金収入活動  186
   (1)小商店の経営 186 (2)マーケット活動 188 (3)スコーン・ビジネス 190  
  3 「豊かさ」とは何か 191  
 第二節 性と生殖をめぐる政治学――避妊の実践 193  
  1 民俗生殖理論 193  
  2 女の仕事としての避妊 196  
  3 家族計画政策 199  
  4 D地区の家族計画の実態 203  
  5 避妊の実態――D地区診療所の家族計画カードの分析 205  
 第三節 紛争処理とジェンダー――離別をめぐる協議 210  
  1 パプアニューギニアの紛争処理制度 210  
  2 エリザベスの主張 213  
  3 キラの指向性――「政府の法は我々の家族を壊す」 215  
  4 ポールの語りとその変化 218  
  5 ワン・ベルとジェンダー・バイアス 224
  
間奏 南太平洋の恋愛日記――ケンと二人の女たち 229  
  1 ケン 229  2 ダイアナ 230  3 オリーブ 232  (1)再会 232  (2)悲劇 235
  4 三角関係の顛末 237  

第六章 扶養の「問題」の社会的背景 241
 第一節 離別の原因 241  
 第二節 子どもの処遇 248  
  1 子どもを扶養するということ 248  
  2 二つの原理を生きる子どもたち 253  
 第三節 「シングルマザー」の実態 257  
  1 シングルマザーの定義と困難 257  
  2 ありふれた存在としての「シングルマザー」――カストムの視点から 261  
  3 離別の風景 264  
  4 「シングルマザー」の生活形態――柔軟な世帯構成 266  
  5 離別後の扶養 269  

【扶養編】 

第七章 日常に埋め込まれた扶養 277
 はじめに 277  
 第一節 扶養する環境 278  
  1 社会環境の変化 278  
  2 系譜と空間の近接性 279  
  3 扶養する環境――「シングルマザー」の事例から 285  
 第二節 寄贈の構造――関係の再生産 287  
  1 ティネムブロイ 287  
  2 複数の寄贈 289  
  3 姉妹の重要性 290  
  4 関係の具体的客体化と再生産 292  
 第三節 カストムで生きる――食べ物の分配 293  
  1 平準化するカストム 294  
  2 カストム・ワークの扶養機能 297  
   (1)ンガップ(婚資)の支払い 297  (2)セヘル 298  (3)ペペイ 299  
   (4)カストムで生きる 300  
  3 闇の中のカストム 301  
 第四節 パラ・ソウエ儀礼――「振る舞い」の再生産 304  
  1 パラ・ソウエの規則と仕組み 304  
  2 パラ・ソウエの形式と内容 307  
  3 パラ・ソウエの関係性 309  
   (1)姻族 309  (2)ウム・カマル 310  (3)キョウダイ 311  (4)対象者の範囲 311
  4 想起される「振る舞い」 312 
  5 「悪い振る舞い」 313
  6 考察――「振る舞い」の再生産 315 
 小括 316

第八章 扶養の近代的実践 319
 はじめに――パプアニューギニアにおける法の問題 319 
 第一節 扶養費請求訴訟の概観 321 
  1 制度の概要 321 
  2 歴史と利用者推移 323 
  3 法の他者性 325 
  4 訴訟実践を支えるエージェント 327 
   (1)福祉事務所 327  (2)裁判所 328  
 第二節 扶養費請求訴訟のプロセス 329  
  1 訴訟歴の検討――サプックの事例 329  
   (1)訴訟のはじまり 329  (2)扶養費の増額をめぐる訴訟 330  (3)延滞金請求訴訟 332
   (4)刑務所へ 333 
  2 法と金と、ジェンダーの政治学 334  
 第三節 法の使い方 336  
  1 リンネのライフヒストリー 336  
  2 法の道具的指向 338  
 第四節 カストムと法の相互作用 341  
  1 扶養をめぐる合意――裁判所から日常的生活世界へ 341  
  2 扶養費請求訴訟のジレンマ 344  
  3 翻訳的適応――「振る舞い」の報酬としての扶養費 347  
 第五節 法とカストムの位置関係 349  
  1 国家法とカストムの併存 349  
  2 村落裁判と扶養費請求訴訟の対比――ケイパビリティの観点から 351  

終章 359  
  カストムの多様性とダイナミズム 359  カストムへの信仰 361  ジェンダーとカストム 365

あとがき 367 

初出一覧 24  
引用文献一覧 4  
索引 
馬場 淳
著書等に『知の大洋へ、大洋の知へ!』「第三章 法に生きる女性たち──パプアニューギニアにおける法の権力作用 馬場 淳」所収(塩田光喜編著、馬場淳・石森大知 他著、彩流社、2010年)、『オルタナティブ・ジャスティス』「9章パプアニューギニアにおけるオルタナティブ・ジャスティスの生成 (馬場 淳)」所収(石田慎一郎 編、大阪大学出版会、2011年)などがある。