湘南 BENGOSHI 雪風録 第16回

  

山本有紀

 

◇8月○日

 法テラスの利用申請をしていたご相談者さんについて、法テラスから援助開始決定の連絡が来る。

⁂ ⁂ ⁂

 あなたは離婚に向けて小学生の子ども一人を連れて別居に踏み切った妻だった。

 離婚に向けた夫婦関係調整調停及び別居期間中の婚姻費用の支払を求める調停を、法テラスを利用して弁護士に依頼していた。

 思っていたより早く、法テラス利用申請から2週間ほどで無事援助決定が下りた。法テラスから弁護士の事務所宛に郵便がきたと連絡を受ける。

 弁護士から、援助開始決定書を手渡される。一緒に代理援助契約書も確認する。

 代理援助契約書は、法テラス、あなた、依頼を受ける弁護士の三者で契約するという形になっている。契約の内容は、ご相談者さんであるあなたが弁護士に対して、事件を依頼し、弁護士は依頼を受ける。法テラスは、弁護士に対して、着手金、報酬、実費を立て替えて支払う。あなたは、法テラスに対して、法テラスが立て替えた着手金等々を分割で支払う。というものだ。

 あなたも弁護士もそれぞれ契約書に署名押印して、弁護士からあなたに3枚のうち1枚が手渡される。ここで、ご相談者さんからご依頼者さんになった。

 ちなみに、法テラスが決定した、離婚等を求める夫婦関係調整調停の着手金は11万円、実費は2万円(いずれも税込)だった。婚姻費用の支払いを求める調停は、同時に申し立てる予定の夫婦関係調整調停に関連するものとしてそれよりは安い7万5千円(着手金として5万5000円、実費として2万円)。

 2ヶ月後の2021年10月には立替金の返済が始まる旨が記載されていた。

 また、報酬についても記載があった。「事件結果に応じて上記とは別に受任者に報酬が発生する(代理援助立替基準により別途審査の上で決定する。金銭給付(養育費の2年間分を含む)のある場合は、概ねその10%+税を基準とする。金銭等財産的給付のない事件結果の場合は、66000円〜132000円が基準となる)。調停不成立で……」

 実際にこの後、調停が進み、離婚が実現した場合、弁護士が法テラスに終結報告をするので、その内容を受けて法テラスが報酬を決定する。終結報告から報酬決定までは1ヶ月くらいかかることが多いようだ。養育費や婚姻費用で実際に月々お金が入る場合は、その10パーセント+消費税を依頼者さんが弁護士に払うよう、法テラスが決定することが多い。調停で離婚が決まらず養育費の額も決まらないと、金銭等財産的給付がない事件として、約10万円ほどの報酬が決定されることが多い。

 

仮に婚姻費用が8万円、養育費が5万円で、離婚成立まで6ヶ月がかかったとすると、

8万円×6ヶ月+5万円×2年(24ヶ月)=168万円。そのうちの10%と税金が弁護士の報酬になる。

 もし婚姻費用や養育費が高ければ(婚姻費用や養育費は、夫婦それぞれの年収を基礎に、子供の数、年齢等々で変動します)報酬も上がるし、小さければ報酬も小さくなる。

 なので一概に法テラスであればお得であるとも言い切れないが、支払が毎月の分割払いになるのは一ついい点であると思われる。

 弁護士は代理援助契約書の残り2枚のうち1枚を法テラスに送り、もう1枚を自分のファイルに入れて、調停申立書の作成に取り掛かる。

 

◇8月△日

 シンクを掃除して掃除機をかけてゴミを出す。お風呂も洗う。

 溜まった新聞をひもでまとめて玄関の砂もちりとりに集める。

⁂ ⁂ ⁂

 毎日こまめにすればいいのはわかっているのに結局今月も同じになっている。どんどん家が汚くなっているのを溜めに溜めて一気に片付けるのだ。

 仕事は忙しいし責任も重いけれどもやりがいがあるし評価されることもある。他方で家事。家が汚くなってきているのは客観的に明らかでも助けの手は伸びず自分がいつもなんとかするしかない。新聞の重さで紐が指に食い込む。共同で生活する、とは……。

 

 

[ライタープロフィール]

山本有紀

1989年大阪府生まれ。京都大学卒業。
大学時代は学園祭スタッフとして立て看板を描く等していた。
神奈川県藤沢市で弁護士として働く。
宝塚歌劇が好き。

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