湘南 BENGOSHI 雪風録 第14回

  

山本有紀

 

◇5月○日

 友人の家へ行く。
 猫がいる。

⁂ ⁂ ⁂

 ネコチャン!!
 ネコチャンはソファの下に隠れて私の出方を伺う。
 目が真ん丸になって耳も立っている。

 膠着状態が長く続く。しかし私が「ちゃおちゅ〜る」を手に持って示すと、真ん丸の目のまま抗いきれずにこっちへ寄ってくる。

 まともにその顔を見つめるとまだまだ子どものネコチャンだ。

 私のことは嫌いでも「ちゃおちゅ〜る」のことは大好きらしく、なんとかして一口舐めようと私の膝へ前足を乗せる。
 ジーパン越しに(もっと薄い服を着てくればよかった)ネコチャンの重みと温かさが伝わる。

 私の家にも猫がいればいいのになぁ(しかしこの後猛烈にくしゃみが出、白目が充血してぶよぶよになった)。

 昨年の猫新規飼育者飼育頭数は約48万頭、犬新規飼育者飼育頭数は約46万頭だそうである。[1]

 猫や犬がいる暮らし、考えただけで心があったかくなるね……。コロナで家にいる時間が長くなったこともあって、ペットを飼うことに決めた方も相当数いるのではないか。
 彩流社さんなんて猫がTwitterをやってくれているもんね……。

 ところで、この頃、ペットとして飼われていたアミメニシキヘビが逃げ出したニュースが、話題となっていました。

 動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)は、その25条の2で、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物(その動物が交雑することにより生じた動物を含む。)を「特定動物」と呼び、原則その飼養(食料を与えて育てること)を禁止しています。

 アミメニシキヘビもこの「特定動物」に含まれています。

 もっとも、この25条の2は、昨年6月1日施行の法改正によるもので、昨年5月末日までは愛玩目的(≒ペットとして)の特定動物飼養の許可を受けることができました。この許可を受けた人は、許可を受けた個体については令和2年6月1日以降も引続き飼養することができます。

 ちなみに、アミメニシキヘビの他にどういった動物が特定動物と指定されているか、環境省のページ[2]が詳しいのですが、一例を挙げると、くま科全種、ハイエナ科全種、チーター。ひと科としてゴリラ属、チンパンジー属、オランウータン属全種も挙げられていました。じゃあボノボは? あれはチンパンジー属だそうです。

 

◇5月△日

 相談者さんが事務所に来られる。
 小さい赤ちゃんを連れている。

⁂ ⁂ ⁂

 アカチャン!!
 アカチャンはベビーカーに寝そべりながら私の様子を眺める。
 警戒心はないようで、ただもちもちしている。

 相談者さんのお子さんに会うことは決して少なくない。時には、生まれてすぐの赤ちゃんに挨拶できることもある。

 とはいえ、仕事上私が関わる人たちの年代別の割合は、日本の人口ピラミッドと、およそ一致している。日本の出生数は昨年、1899年の統計開始以来過去最小の約84万人だったらしい。私の仕事の上で、赤ちゃんが登場する回数は、50代・60代の人が登場する回数に比して明らかに少ない。

 人間の赤ちゃんは誰かに助けてもらわないと生きていけないし本人の警戒心も弱い。赤ちゃんが家にいたら、育てる側は心があったかくなるだけでは済まなくて、本当に色々とお世話が必要だ(猫・犬もきっちりお世話が必要です)。コロナでこちらの心も荒れる中、赤ちゃんを育てるのはなかなか大変なことだと思う。

 ちなみに、お子さんの今後も含めて論点となる、家庭裁判所での家事調停に、お子さんの同席は原則認められません。家裁は、話の内容がおよそわからない小さな赤ちゃんでもない限り、子の心に配慮し、親の争いごとはできるだけ見聞きさせないようにしているようです。

 お子さんをめぐる紛争は、時に苛烈を極めます。子どもにとって何が良いかを一番冷静に見極めているのは、紛争の当事者よりも家庭裁判所と感じることさえあります。その上で、裁判所に優れた判断をしてもらうための材料集めは、代理人弁護士の腕の見せどころでもあります。

 

[1]「2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果」(https://petfood.or.jp/topics/img/201223.pdf

[2] 環境省 指定動物リスト(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html

 

 

[ライタープロフィール]

山本有紀

1989年大阪府生まれ。京都大学卒業。
大学時代は学園祭スタッフとして立て看板を描く等していた。
神奈川県藤沢市で弁護士として働く。
宝塚歌劇が好き。

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