湘南 BENGOSHI 雪風録 第11回

  

山本有紀

 

◇2月○日
 朝から書面をFAXで裁判所と相手方代理人へ送る。その後地方裁判所へ行く。弁論準備期日。代理人待合室でパンを食べて午後は家庭裁判所へ行く。調停。次は警察署で接見。事務所に戻って留守中の電話に折り返す。その後は法律相談。

◇2月△日
 ひたすらとある地方公共団体の議会議事録を読み続ける。

⁂ ⁂ ⁂

 経済的な利益を追求することそれ自体ではないことを、仕事にできたらいいなという気持ちが前からあった。
 目をカピカピにしながら、しかしその目を皿にして議事録から何かヒントを探し続ける。地味で地道で目に悪い仕事だ。
 経済的な利益追求のためでないことは明らかで、そもそもこればかりしていては干からびてしまうが、実際始めると必死になってしまう。事務所から一歩も出ていないのに時間がびゅんびゅん過ぎる。
◇2月28日
 2月……勝手に終わろうとしている……?


⁂ ⁂ ⁂

 

 2月末や3月頭が〆切の仕事を、2月の始まりに受け取って、まだまだ余裕があると泰然と構えていた(というより2月の始まりは2月の始まりに、2月の半ばは2月の半ばにやらなくてはいけない仕事をくるくるこまねずみのようにこなしていた)。あっという間に2月の終わりになっていた。
 ところで、2月には祝日が2日あった。「裁判所の休日に関する法律」第1条には、裁判所の休日は、日曜日及び土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、12月29日から翌日の1月3日までの日と定められている。事務所から裁判所に慌てて電話をかけたら、電話がつながらず、そこで初めて祝日と気づいたということがあった。
 ところで、祝日とはなんであろうか。
 祝日自体も、「国民の祝日に関する法律」で定められている。
 法律は様々あるが、その1条には、各法律の立法趣旨(その法律を作った目的)が書かれていることが多い。
 国民の祝日に関する法律の1条はこうだ。
「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」
 あらら! 「自由と平和を求めてやまない」、なかなか良き響きですね。このくらい積極的な姿勢で生きていきたい。「よりよき社会、より豊かな生活」、この辺はかなり解釈に幅がありそう。もっとも「国民こぞって祝い」……こぞって祝う! かわいいのね。祝日の日にタクシーに飾ってある旗のことでしょうか。
 そういえば最近どこかでこぞって祝う場面を見たような……? フォ……?
 ちなみに、同法3条1項は「「国民の祝日」は、休日とする。」としている。しかし、同条2項は「「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い『「国民の祝日」でない日を休日とする。」と定めている。
 すなわち祝日が日曜日に被ると、次の月曜日(ただし国民の祝日でない場合)は「休日」になる。
 しかし、祝日が土曜日になってもその次の月曜は「休日」にならない。
 これによって休日にならない祝日が、今月は3月20日、春分の日として存在している。その次の祝日は4月29日、昭和の日だよ。
 裁判所の人(実際には裁判所のお仕事は土日や夜間も当直があるので一概にはいえないが)、おつかれさまです。3月は長い。休日をもたらす祝日はないけど、3月20日はめげずにこぞって祝いましょうね。

 

 

[ライタープロフィール]

山本有紀

1989年大阪府生まれ。京都大学卒業。
大学時代は学園祭スタッフとして立て看板を描く等していた。
神奈川県藤沢市で弁護士として働く。
宝塚歌劇が好き。

湘南 BENGOSHI 雪風録 バックナンバー