耳にコバン 〜ブリットポップ編〜 第8回

  

第8回 ヤクにご用心

コバン・ミヤガワ

 

「わざわざ調べるほどではないが、気になっていること」
生活していればそんなことがポツポツと頭の隅に鎮座している。
多分、生活してりゃあ答えがわかるだろうと考えて放置している。

 

ここ何年か気になっていたことがあった。

 「厄年」である。

 いつが前厄でいつが本厄なのか。そしてお祓いはいつしてもらえばいいのか。
今くらいの年齢だった気がするが、正確な年齢までは知らない。
しかも数え年という概念がまたややこしくさせるのだ。一体いつなんだ!
気になりはするが、調べるほどではないのだ。お祓いしなくたって死にはしない。
厄年を心配する人は心配するだろうが、個人的にそこまで不安に思っていなかった。

 

そんなこんなで新年がやってきた。
あっという間に2010年代も終わってしまった。この先「ボクの青春、10年代」なんて懐かしむこともあるのだろうと思うと、少し寂しい。

 

新年、元旦といえば初詣である。みんな一様にゾロゾロと神社へ向かう。お正月の風物詩だ。
ボクも両親と地元の神社にお参りに向かった。
行列に並んでいると、看板が目に留まった。
厄年の看板だった。ボクの妙に気になっていた答えを教えてくれる。

よく見てみると、本厄が終わっているじゃないか! 2020年は後厄じゃないか。

ボクの厄年はなんとなーく気になっている間に終わってしまった。
調べることなく、お祓いすることなく、厄年は過ぎ去った。
何だ、この心に残るしこりは。

 

振り返ると厄にまみれた1年だったのだろうか。
悪いこと、ついてないことなんていくらでもあった。だが、厄年が原因とまで言えるようなものではない。記憶にもそこまで残っていないので、大した厄でもなかったのだろう。

 

身内に何か厄が降り掛かったのではないかと考えてみた。
これに関しては1つあった。
昨年の夏、祖父の家に行った。たまたまその滞在中に祖父の健康診断があった。フタを開けてみると、どうやら10年ぶりの大腸検査らしい。
小断食をし、何やら下剤をたらふく飲まされていた。トイレに何回も行って、お腹が空っぽになって検査に向かった。
結果は要手術。
今振り返れば、こんな偶然中々ない。約10年ぶりの検査で、たまたまボクが近くにいて、しかも問題が見つかるなんて。
結果的に内視鏡で手術は終わり、その後の検査でも問題は解消されたらしいのだが、厄年がそうさせたのかもと考えてしまった。

 

上っ面を見ると昨年は悪いことが起きていた。しかし今となっては、祖父の病気も大事には至らなかったわけであるし、考え方によっては早期発見じゃないか。

 

2019年は「いい厄年」であった。
「今年もいい一年だったわ」みたいなノリで厄年を締めくくってやる。
厄年なんて自分の考え方でいくらでもプラスな年にできるのだ。

 

次の厄年はしっかりお祓いしたい。お祓いされてみたい。最早、好奇心だ。かかってこい厄年。
いつなのかは調べないけど。やっぱり。

というわけで2020年もよろしくお願いいたします。

 

さあ!
新年一発目のブリットポップは、1年の始まりにピッタリの勢い溢れるナンバーを紹介したい。

 

ブー・ラドリーズ(The Boo Radleys)だ。ブー・ラドリーズは、1988年にリヴァプールで結成されたバンドだ。80年代から90年代へ向かう流れの中で音楽活動をスタートした彼ら。ブリットポップに大きく貢献したバンドである。
ロックという言葉だけでは括れない多彩な表情を見せてくれるバンドだ。ブー・ラドリーズを聴いていると、やはり「ブリットロック」ではなくて「ブリットポップ」という言葉のほうがしっくりと落ち着く。

 

そんなブー・ラドリーズの1995年のアルバム『Wake Up!』を紹介する。

 

 

このアルバムを一言で言い表すならば「後悔するぞ!」である。
正直ブー・ラドリーズを知ったのは、大学に入ってブリットポップの音楽を好んで聴くようになってからだった。それまでブラーやオアシスはよく聴いていた。しかし、90年代のUKロックを好んで調べるようになってブー・ラドリーズとこのアルバムを知った時は、あまりにも素晴らしいアルバムすぎて「何で今まで知らなかったのか」と後悔の念を覚えたほどだった。
それほどの名盤だと思っている。非常にお勧めできるアルバムである。

 

今回はアルバムの中から、大ヒットを記録した「Wake Up Boo!」を紹介したい。
この曲、すごく日本人好みだと思う。
アップテンポなナンバーで、あまり洋楽を聴かない方も、リズムよく聴いていただけるはずだ。万人向けな曲ともいえよう。
だからこそイギリスでも人気を博したのではないだろうか。
非常に聴きやすいポップソングになっている。

 

トランペットなどのホーンセクションから勢いよく始まり、疾走感を掻き立てられ明快に進む。
途中で入るコーラスは、さながらビートルズを彷彿とさせる。さすがリヴァプールサウンドといったところだろう。美しく、軽快である。

 

歌詞も、曲名の通り「起きて!美しい朝だよ!もったいないよ」と1日の始まりを応援してくれ、元気をくれる。
1日の始まり、さらには1年の始まりにぴったりな曲だ。
朝起きてこの曲を聴けば元気になること間違いなし!!
こんな元気な曲聴けば厄も祓えちゃうかも。

 

ブー・ラドリーズは、ビートルズやビーチボーイズといったバンドのさわやかな香りを残しつつも、古臭くなく、いずれにもひけを取らないほどの魅力あるバンドだと思っている。
時代こそ違うが、同じような煌めきを感じてやまない。

 

残念ながら1999年、90年代の終わりと共に解散してしまったが、彼らの生み出した曲たちは、今聴いても新しく、ワクワクさせてくれるのだ。

 

さあ今年も音楽と共に突っ走って参りましょう。

 

 

[ライタープロフィール]

コバン・ミヤガワ
1995年宮崎県生まれ。大学卒業後、イラストレーターとして活動中。趣味は音楽、映画、写真。
Twitter :@koban_miyagawa

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