あてにならないおはなし

  • あてにならないおはなし 第12回

    第12回「学問・研究は実に恐ろしい」   阿部寛   初めに近況報告を少しばかり。 ライタープロフィールにある通り、わたしは、社会福祉士でもあるのだが、実態は「なんちゃって社会福祉士」だ。 学校嫌い、人に教えること、人から教わることが大嫌いなわたしが、4年前から社会福祉士国家試験の受験対策部...
  • あてにならないおはなし 第11回

    第11回 「犯罪学の学び直しによる生活再建計画」   阿部寛   話が相前後して誠に恐縮だが、心身が絶不調となった大学生活後半期から卒業後の立てこもり生活、その中で考案した生活再建計画は、「犯罪学の学び直し」だった。 立てこもり生活において様々な分野の書籍を乱読した。必死になって自分の人生の...
  • あてにならないおはなし 第10回

    第10回 「心身バラバラの意味をちょっと深掘り」 阿部寛   青年期の暗夜行路の微かな灯となってくれたものの一つが「森田療法」であったことは、前回書いたとおりである。何人かの読者から「実は私も森田療法の治療を受けていました」というご連絡をいただいた。マイナーな治療法と思っていたが、治療経験者...
  • あてにならないおはなし 第9回

    第9回 「心身バラバラの意味を探る」 阿部寛   前回の文章を読んでくださった方から、予想外の、いやある意味予想通りの、感想が寄せられた。例えば、「苦労をしてきた人は、優しくなれる」とか。「青年期の試行錯誤が今の阿部さんをつくった」とか。「よく頑張って生きてこられましたね。わたしももっとがん...
  • あてにならないおはなし 第8回

    第8回 「故郷のことばを手繰りよせて(つづき)」 阿部寛   (横浜の寿識字学校に毎週通い、必死の思いで綴り続けるのだが、書き出される文章は、うまく書こうという思いが先走るよそよそしいことばばかりだ。そんな姿を見かねたのか、主宰者の大沢敏郎さんから「ふるさとのことばで書いてみないか」という助...
  • あてにならないおはなし 第7回

    第7回 「故郷のことばを手繰りよせて」 阿部寛   寿識字学校で人生の岐路(分かれ道)に立ちながら、行く方向を探しあぐねていたとき、わたしの背中をぐっと押してくれる出来事があった。毎週金曜夜に識字学校に通い、何とか上手に文章を書こうとばかり努めたものの、書き出されることばは、からだの奥深くに...
  • あてにならないおはなし 第6回

    第6回 「愛すべき伝説の男」 阿部寛   人生は、出会いの縦糸と別れの横糸が織りなす織物だ。どれ一つとして同じ色柄はない。私の織りの基調は、20歳代後半、ある男との出会いによって劇的に変化した。   遠方から大きく手を振って近づいてくる男がいる。赤のベレー帽に紫のダボシャツを着て、首には大き...
  • あてにならないおはなし 第5回

    第5回 「寿町に咲くムグンファ(天の花)」   阿部寛   金孟任(キムメンニム)さんは在日一世。18歳で日本に来た。本当は勉強したかったが、両親からは「旦那さんを神様だと思って暮らせ」と言われ、勉強をあきらめた。以来50数年、寝る間も惜しんで働き、子どもを3人育て上げた。いまは、寿町でドヤ...
  • あてにならないおはなし 第4回

    第4回 「自分のことばが欲しい」 阿部寛   日本の3大ドヤ街(日雇労働者の簡易宿泊所街)の一つ、横浜・寿町にある寿識字学校に初めて参加したのは、1984年春だった。毎週金曜の午後6時から9時までの3時間、寿生活館2階の部屋で開校されていた。「寿識字学校」という手書きのボードが下がるドアをノ...
  • あてにならないおはなし 第3回

    第3回 「野宿者襲撃事件と寿識字学校との出会い」 阿部寛 今回は、わが人生のライフヒストリーを28歳まで先送りして、本連載の副題にもなっている「識字」との出会いについてふれたい。 横浜市役所や横浜スタジアムのすぐそばに寄せ場(日雇労働者の就労斡旋と簡易宿泊所街)「寿町」がある。東京・山谷、大...
  • あてにならないおはなし 第2回

    第2回 揺るぎない信頼は恐ろしい 阿部寛 連載第1回の文章に対してうれしい反響があった。その一つを紹介しよう。 神奈川県厚木市で25年間続けられている地域人権学習会ぼちぼちのみなさんからのメールだ。被差別部落でくらす小学生2人、中学生1人とわたしの4人で始まった学習会は、その後不登校経験者、台...
  • あてにならないおはなし 第1回

    第1回 口上 〜滞ることば、苦い記憶〜 阿部寛   ことばは、多様な顔立ちをもつ魔物だ。幼い頃のことばの記憶は、かなりにがい。色あせた写真の中のわたしは、口を半開きにしてぼーっとしていて、なんだか頼りない。人見知りで、他人(ひと)前ではほとんどしゃべらなかった。 「不登校」という現象が研究され...