あてにならないおはなし

  • あてにならないおはなし 第18回

    第18回 人生の大転換期 阿部 寛  前号で書いたとおり、わが小論文が『中央評論』に掲載されたあと、私のもとにいくつかの反応が届いた。いろんな意味で「問題作」だったようだ。 研究者仲間の声は複雑だった。祝福のメッセージあり、「え、阿部の論文が掲載されたの?」という驚きと「嫉妬」の表現あり、「こ...
  • あてにならないおはなし 第17回

    第17回 37年ぶりの小論文再考 阿部 寛   筆者直筆のイラスト(本連載のサムネイルに使用)  連載第16回の最後で触れたが、1984年2月、中央大学大学院法学研究科刑事法専攻博士課程前期の履修科目「法理論(法解釈学)」の単位レポートを担当教員の櫻木澄和教授に提出した。数日後、先生本人から...
  • あてにならないおはなし 第16回

    第16回 さらば、学生生活よ 阿部 寛  彩マガが2月号から新装オープンするとの電話連絡が編集担当者Dさんから届いた。連載の巻頭にデザイン画がつくという。「何かオリジナルの絵はありますか? なければこちらで用意したものがありますが、ちょっとつまんないかもしれませんねえ」とDさん。  「以前描い...
  • あてにならないおはなし 第15回

    第15回 「わかりません」は、どっちだ   阿部寛   小学校入学から大学院中退までを学生生活としてとらえると、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学浪人2年、大学4年、フリーター兼大学院浪人2年、大学院3年。なんと23年間も学生生活を続けていたことになる。これだけみても「社会的不適応者」と...
  • あてにならないおはなし 第14回

    第14回 「世間論再考」 阿部寛   新型コロナウィルス(Corona Virus Disease 2019(COVID-19))感染症拡大とその対策をめぐり、社会不安と偏見・差別が暴走し、感染患者とその家族や医療関係者に対して凄まじい社会的排除が全国的にくり広げられている。一方で、それに呼...
  • あてにならないおはなし 第13回

    第13回「犯罪ってなんだ」   阿部寛   記憶をたどってみると、犯罪への強い関心は、小学生のころから持ちあわせていたようだ。𠮷展ちゃん誘拐殺人事件(1963年3月、わたしは当時8歳)、狭山事件=女子高校生強盗強姦、強盗殺人事件(1963年5月、当時8歳)、金嬉老事件(1968年2月、当時1...
  • あてにならないおはなし 第12回

    第12回「学問・研究は実に恐ろしい」   阿部寛   初めに近況報告を少しばかり。 ライタープロフィールにある通り、わたしは、社会福祉士でもあるのだが、実態は「なんちゃって社会福祉士」だ。 学校嫌い、人に教えること、人から教わることが大嫌いなわたしが、4年前から社会福祉士国家試験の受験対策部...
  • あてにならないおはなし 第11回

    第11回 「犯罪学の学び直しによる生活再建計画」   阿部寛   話が相前後して誠に恐縮だが、心身が絶不調となった大学生活後半期から卒業後の立てこもり生活、その中で考案した生活再建計画は、「犯罪学の学び直し」だった。 立てこもり生活において様々な分野の書籍を乱読した。必死になって自分の人生の...
  • あてにならないおはなし 第10回

    第10回 「心身バラバラの意味をちょっと深掘り」 阿部寛   青年期の暗夜行路の微かな灯となってくれたものの一つが「森田療法」であったことは、前回書いたとおりである。何人かの読者から「実は私も森田療法の治療を受けていました」というご連絡をいただいた。マイナーな治療法と思っていたが、治療経験者...
  • あてにならないおはなし 第9回

    第9回 「心身バラバラの意味を探る」 阿部寛   前回の文章を読んでくださった方から、予想外の、いやある意味予想通りの、感想が寄せられた。例えば、「苦労をしてきた人は、優しくなれる」とか。「青年期の試行錯誤が今の阿部さんをつくった」とか。「よく頑張って生きてこられましたね。わたしももっとがん...
  • あてにならないおはなし 第8回

    第8回 「故郷のことばを手繰りよせて(つづき)」 阿部寛   (横浜の寿識字学校に毎週通い、必死の思いで綴り続けるのだが、書き出される文章は、うまく書こうという思いが先走るよそよそしいことばばかりだ。そんな姿を見かねたのか、主宰者の大沢敏郎さんから「ふるさとのことばで書いてみないか」という助...
  • あてにならないおはなし 第7回

    第7回 「故郷のことばを手繰りよせて」 阿部寛   寿識字学校で人生の岐路(分かれ道)に立ちながら、行く方向を探しあぐねていたとき、わたしの背中をぐっと押してくれる出来事があった。毎週金曜夜に識字学校に通い、何とか上手に文章を書こうとばかり努めたものの、書き出されることばは、からだの奥深くに...