動機の語彙論と平和思想C.W.ミルズとアメリカ公共社会

C.W.ミルズとアメリカ公共社会 動機の語彙論と平和思想

伊奈 正人 著
A5判 / 288ページ / 上製
定価:3,200円 + 税
ISBN978-4-7791-1897-5 C0030
奥付の初版発行年月:2013年06月 / 書店発売日:2013年06月05日
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内容紹介

9・11以降、グローバル化する社会で続く「憎しみの連鎖」を断ち切る
想像力を獲得するために、今こそ、ミルズ社会学を再読する!

「プラグマティズム」、「ヴァナキュラー」、「ハイブリッド」、「パスティッシュ」といった鍵が、本書を貫く。


ミルズは、大戦間期から冷戦期のアメリカ社会とアメリカ社会学について
考察した社会学者である。南北戦争、二つの世界戦争、冷戦を貫く
問題を見すえ、アメリカ社会を分析した。そして多元的民主主義に基づく
「ゆたかな社会」というアメリカ合衆国の自負を批判した……。

C・W・ミルズ(チャールズ・ライト・ミルズ)とは?
1916 〜1962 年。アメリカの社会学者。
主な著書に『ホワイト・カラー』(創元社)、『パワー・エリート』(東京大学出版会)、
『第三次世界大戦の原因』(みすず書房)、『キューバの声』(みすず書房)、
『社会学的想像力』(紀伊國屋書店)など、訳書多数。

版元から一言

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

伊奈 正人(イナ マサト)

東京女子大学現代教養学部教授。
1956 年、横浜生まれ。一橋大学大学院博士課程修了。
専門は、文化社会学、社会心理学、アメリカ社会学史。
サブカルチャー、青少年心理、メディア文化にも造詣が深い。
主な著書に『社会学的想像力のために』(世界思想社、共著)、
『サブカルチャーの社会学』(世界思想社)、
『若者文化のフィールドワーク』(勁草書房)、
『ミルズ大衆論の方法とスタイル』(勁草書房)他、多数。

目次

はじめに……………1


Ⅰ プロローグ――予備的考察……………15


●序章 C・W・ミルズ再入門――グローバル化と動機の語彙論……………16

 一 ミルズを読みなおす視点について……………16
   1 「憎しみの連鎖」と社会学的想像力……………16
   2 アメリカ的なアメリカ批判――「向こう岸」としてのヨーロッパをめぐって……………17

 二 「戦後思想」としてプラグマティズムを読む
――L・メナンドのプラグマティズム解釈から学ぶこと……………20
   1 南北戦争とアメリカ思想の分水界――鶴見俊輔のプラグマティズム論……………20
   2 「正しさ」への抵抗とプラグマティズム――加藤典洋の「戦後思想」論を手がかりに……………24

 三 ミルズのプラグマティズム批判……………27
   1 プラグマティズムの変貌とグローバル化 ……………27
   2 ミルズの批評性とプラグマティズム……………30
   3 “substantive”なものと職人性……………34


 四 動機の語彙論から「戦争の昇華」へ……………37
   1 プラグマティックなプラグマティズム批判――プラグマティズムから動機の語彙論へ……………37
   2 ヨーロッパ的な危機意識と知識社会学――動機の語彙論の社会学史的整理……………39
   3 動機の語彙論……………41
   4 隠喩の隠喩……………43
   5 動機論の動機論……………44

 五 大衆社会を動機の語彙論で読み直す……………46


Ⅱ 問題としての動機の語彙論……………47


●第一章 公共社会学から動機の語彙論へ――研究の動向と問題の所在……………48

 一 公共社会学と知識社会学をつなぐもの……………49

 二 「よりどころのない立場」と公衆論……………52

 三 国家と社会制御――D・メロッシにおける公衆と動機の語彙……………54

 四 動機の語彙と作品性の文化社会学……………55

 



●第二章 社会学的動機論から動機の語彙論へ――社会学史的位置づけの素描……………58

 一 概念の定義について――動機と動機の語彙……………60
   1 動機の定義をめぐって……………60
   2 動機の語彙と実体排除……………61
 
 二 行為論的な動機論の動機――経済的動機と宗教的動機の構成と制御……………63
   1 反映から構成へ……………63
   2 動機論の社会学史――手がかりとしての井上俊の整理……………64
   3 動機の構成と行為論的動機論――「宗教的な現象としての社会」の制御……………66

 三 相互行為論的な「動機論の動機論」の動機――社会学的動機……………69
   1 動機の「内面化」をめぐって――「道徳的なもの」と行為論……………69
   2 動機外在説をめぐって……………70
 
 四 動機の語彙論と学説史の分水嶺……………73


Ⅲ 動機の語彙論から社会学的批評へ……………75


●第三章 動機の語彙論と知識社会学――動機付与論から「動機論の動機論」へ……………76

 一 二つの知識社会学と「動機論の動機論」……………76

 二 動機の語彙論のテキスト問題……………78
   1 動機の語彙論の再発見……………78
   2 初期論考と『性格と社会構造』との相違――第一のテキスト批判……………80
   3 『性格と社会構造』の共著関係――第二のテキスト批判……………82

 三 ミルズ知識社会学の検討……………88
   1 思考の座標軸と語彙体系――プラグマティズムとK・バーク……………88
   2 動機付与論……………93
   3 「動機論の動機論」と生の作品性……………95
 
 
●第四章 大衆社会論と動機の語彙……………99

 一 動機の語彙論から大衆社会論へ……………100

 二 D・メロッシにおける国家と社会制御……………102
   1 想定としての国家と社会制御――「国家なき国家」と動機の語彙……………102
   2 相互行為論的な民主主義モデルと動機の語彙……………105
   3 動機の語彙の複数性――民主主義モデル改造の二つの方向……………106

 三 パワー・エリート論の再検討――“politics of truth”論を手がかりに……………113
   1 権力概念……………115
   2 エリート概念……………116
   3 支配階級論批判……………118
   4 職業の概念……………118
   5 「保守的ムード」論……………120
 四 公共社会学と「新しい左翼」……………120
   1 「新しい左翼」……………121
   2 公衆論をめぐって……………122

 五 動機の語彙論と大衆/公衆論……………125


【補論1】 ハイブリッドな動員社会とミルズの社会病理学批判……………127

 一 ハイブリッドな動員社会とシカゴ学派の機能主義……………127
   1 サブカルチャー研究の先駆としてのシカゴ学派……………127
   2 機能主義の先駆としてのシカゴ学派……………128

 二 批判的機能主義とサブカルチャー研究……………129
   1 『アウトサイダース』の画期性……………129
   2 ミルズの社会病理学批判……………130
   3 ミルズの批判的機能主義とカルチュラルスタディーズ……………130


●第五章 社会学的リアリズムと動機の語彙――人間喜劇と歴史的特殊性……………132

 一 動機の語彙論と社会学的リアリズム――「隠喩的なもの」を手がかりに……………132

 二 社会学的人間喜劇と批評性……………134
   1 文学的文体と公共社会学……………134
   2 社会学的人間喜劇とバルザック的手法――D・ベルのパワー・エリート論批判……………138
   3 「よりどころのない立場」と喜劇的方法……………140
   4 喜劇的方法と動機の語彙論……………143

 三 歴史的な方法と深層心理学……………145
   1 二つの隠喩的方法……………145
   2 歴史的特殊性の概念について――隠喩としての歴史……………146
   3 自己の「深さ」――隠喩としての深層……………150

 四 「動機論の動機論」と社会学的リアリズム……………155


【補論2】 人間喜劇としての『ホワイトカラー』……………157

 一 自己形成と『ホワイトカラー』……………157

 二 自己形成の契機としての父と祖父……………158

 三 反抗と癒し――自己形成の契機としての大都会と田舎町……………160

 四 「職人性」――ダラス・テクニカル・ハイスクールとテキサスA&M……………162

 五 テキサス、ウィスコンシン、ニューヨーク……………165
 
 六 ハイブリッドなアメリカ像……………166



●第六章 社会学的想像力と動機の語彙……………168

 一 社会学的想像力の動機……………168
   1 動機としてのアメリカ社会学……………169
   2 動機としての異化と隠喩……………171
   3 動機としての歴史性……………173
   4 動機としてのプロブレマティックと公衆……………174

 二 「不調和によるパースペクティブ」……………176
   1 「不調和によるパースペクティブ」とミルズ……………176
   2 「不調和によるパースペクティブ」と社会学的想像力……………177

 三 パワー・エリート論と「不調和によるパースペクティブ」……………179
   1 「不調和によるパースペクティブ」としての権力一元論……………179
   2 権力一元論と「人間の多様性論」……………180
   3 「不調和によるパースペクティブ」と「戦争の昇華」論……………181

 四 語用論的転換と「不調和によるパースペクティブ」――「よりどころのない立場」……………183
   1 ドラマティズムと知識社会学……………183
   2 「地口構造」と「不調和によるパースペクティブ」……………184
   3 「不調和によるパースペクティブ」とミルズ知識社会学……………185
   4 「よりどころのない立場」と純粋な反省性……………186

 五 「マルクス主義のマルクス主義」と知識人論の動機……………186


Ⅳ アメリカ公共知識人の作品動機……………189


●第七章 公共知識人論とミルズ社会学
              ――R・ジャコビーの所説を手がかりとして……………190

 一 公共知識人論と動機論――清水晋作のトライユニティ論を手がかりに……………190

 二 ジャコビーの公共知識人論――ハイブリッド、ヴァナキュラー、パスティッシュな作品性……………192
   1 公共知識人と「見えない知識人」――ハイブリッドなアメリカ像と知の制度化……………192
   2 ヴァナキュラーな批評とテクニカルな批評――知識人と公衆のことばをめぐって……………195
   3 ハイブラウな文化とパスティッシュな文化……………197

 三 ミルズにおける知識人論と公衆論――中間階級化との関わりで……………200
   1 自由な知的職人と雇われ知識人……………201
   2 政治的公衆と大衆的公衆……………204

 四 ミルズにおける職人性と合理化――商業化と批評的作品性……………206
   1 職人性と商業文化……………207
   2 産業の動機とビジネスの動機――合理化をめぐって……………208
   3 「動機論の動機論」と動機の逆理――産業化の動機と禁欲の倫理をめぐって……………210

 五 アメリカ社会学の動機論:ミルズ、パーソンズ、ベル……………213



●第八章 現代アメリカ知識人論の再考察
                ――ラディカルな逆理論を手がかりに……………216

 一 大衆社会と知識人――問題としての一九四〇年代論……………216

 二 現代知識人論の課題・再考――馬場修一の所説を手がかりに……………217
   1 テクノクラシー・文化・ラディカリズム――二つの状況認識……………217
   2 知識人と大衆の相互転化……………218
   3 多数性と両義性……………220

 三 ラディカルな逆理・再考――反省の無限化をめぐって……………221
   1 ラディカルな逆理……………221
   2 再考察の手がかり――「独立ラディカル」と一九四〇年代論……………222
   3 『ポリティックス』の路線変更……………224
   4 非歴史的絶対としての「個」――P・グッドマンとミルズの論争……………225
   5 「イン」であること――衝動と根拠……………227

 四 パースペクティブとしての大衆と知識人――衝動と法理の自省的パースペクティブ……………230
   1 衝動・法理・反省……………230
   2 プラグマティズムの自己論――G・H・ミードの独創性……………232
   3 スタイル概念と逆説性……………234
   4 スタイル概念と両義性――近代批判・無限化批判とのかかわり……………236
   5 マイノリティの特恵性をめぐって……………237

 五 「知の遠近法」モデルと同一性論……………240

Ⅴ エピローグ……………245

●終章 C・W・ミルズ脱入門――公共社会学と平和思想……………246

 一 ミルズの公共社会学と共生=平和思想……………246
 

 二 ミルズにおける共生=平和の方法――動機の語彙・職人性・人間喜劇……………250
   1 「国家なき国家」と政治的公衆……………250
   2 職人性論の論理――ミルズの論法をめぐって……………253
   3 喜劇的方法と機能主義……………256

 三 組織化の「外部」の作品性……………259
   1 高級文化と大衆文化における両義性の問題――D・マクドナルドとミルズ……………260
   2 作品性としての「線引き」と「変換」……………262
   3 貴族性のゆくえ……………265

 四 「想像の武器」――ミルズの共生=平和思想のスタイル……………266

おわりに……………270

索引

文献一覧

初出一覧

関連書

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