夏の奥津城
著訳者名 | 梅宮 創造 著 |
副題 | |
書名ヨミ | ナツノオクツキ |
仕様/ページ数 | 四六判/並製/300ページ |
定価 | 2,700円+税 |
ISBN | 978-4-7791-2790-8 |
出版年月日 | 2021/11/8 |
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会津地方の或る旧家の壊滅
たまたま地方の一旧家に生れて、年ふるままに人となり、しまいには天の定め、その命を召しあげ、遺された者ら、只ひたぶるに祈る。さて、祈る者びとも、かわるがわる、とき到りて同じ定めに就き、今度は逆に祈られる。一人また一人と、生れては死ぬ。死ぬとわかっていながら、生れてみれば嬉しいことも、辛いこともあろう。それもこれもが、いずれ等しく、ひとときの光芒放つ間もはかなく、果ては闇に消えゆくものの。かつてさんざめいた日々の生活、古い家屋敷、周囲をとり巻く山に川に、野に畑に、昔の俤すでに無く、ただ言葉だけがむなしく宙へ舞う。祈るべし、命あるかぎり祈るべし。神々の、この世に在りし証を温めながら祈る。
目次
【第1部・夏の奥津城】
(序)兄弟
籠る日々
雷(いかづち)
病を得て
大寒の朝
奥津城
渦
天壌無窮
招魂
神々の集い
(跋)祈り
【第2部・譚草拾遺】
愚神祭
蘇生
独身
ジェイムズ・ジョイスへの旅路
イタリア叙事喜劇
著者プロフィール
梅宮 創造(ウメミヤ ソウゾウ)
1950年、福島県会津生まれ。東京内外の複数の大学で教鞭をとり、2020年3月に定年退職。目下、執筆にいそしむ。専門は19世紀イギリス小説であったが、日本近代小説にも多大な関心を持つ。
著書に『子供たちのロンドン』(小沢書店、1997年)、『拾われた猫と犬』(小沢書店、2000年)、『はじめてのシェイクスピア』(王国社、2002年)、『5分間旅の英会話―A Shorter Course in Rhyth』(南雲堂、2012年)、『シェイクスピアの遺言書』(王国社、2018年)、『ブロブディンナグの住人たち 倫敦今昔』(彩流社、2018年)、『英国の街を歩く 街にあるメッセージを読む』(彩流社、2019年)、『ディケンズの眼 作家の試行と試練』(早稲田大学出版部、2020年)があり、
訳書に『夢魔邸』(トマス・ラヴ ピイコック著、梅宮創造 訳、旺史社、1989年)、『こころの小箱 リブラン創作童話 第1集』(「いやなやつこわいやつ」(梅宮創造)、リブラン、1989年)、『無名なるイギリス人の日記』(ジョージ&ウィードン・グロウスミス 著、梅宮創造 訳、王国社、1994年)、『じじバカ 世界でいちばん、孫が好き』(ソール・タートルトブ 著、梅宮創造 訳、サンマーク出版、2002年)、『英国紳士サミュエル・ピクウィク氏の冒険』(チャールズ・ディケンズ 著、梅宮創造 訳、未知谷、2005年)、『ディケンズ公開朗読台本』(チャールズ・ディケンズ 作、梅宮創造 訳、英光社、2010年)、『『クリスマス・キャロル』前後』(Charles Dickens、梅宮創造 訳著、大阪教育図書、2013年)、『写真と文による ヴィクトリア朝ロンドンの街頭生活』(ジョン・トムソン、アドルフィ・スミス 著、梅宮創造 訳、アティーナ・プレス、2015年)、『イノック・アーデンの悲劇・他』(アルフレッド・テニスン 著、梅宮創造 訳、大阪教育図書、2018年)等がある。